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ブランドを守るはずが、そうじゃなかった

「今日は何もない一日でした」というニュースを一度聞いてみたいものだと思うほど、世の中には事件事故、不祥事ネタが溢れています。当事者にとっては事態に軽重はないのでしょうが、ニュースを取り扱う側から見ると限られた時間や紙面の都合から優先順位をつけてしまう。逆の見方をすれば、重いと思われるニュースが無ければ軽いと判断した事柄でも優先順位が上がってしまうということですね。結果的に「何もない日はない」となってしまう訳です。

11月にブランドマネジメントから見た「不祥事への対応」について書きましたが、ここに来てまた騒ぎが勃発しています。

タレントと自社社員とのトラブルを放置していたとしてテレビ局が非難されている事柄です。

タレントへの期待の反動、相手側へのダメージ、その後のタレント本人や会社の対応、など残念なことばかり。

特にテレビ局の対応に至っては、「炎上に燃料を継ぎ足してどうする?」というものでした。

窮地に立った時に誰もは、まず身を守ることを考えます。どうすればダメージを最小限に食い止められるか対策を考えるのは当然です。

但し、その背景や原因が全くの外部にあれば自分たちで考えた対策を打てば良いだけですが、そこに自分たちが含まれているとなれば話は別です。特にステークホルダー(社員を含め)に対して悪影響を及ぼした場合は、それらに対して「真摯に対応するために何が必要か」を最優先に考えるべきだと思います。

取材する側であれば、あの定例記者会見だけで「次回は調査委員会で説明するので待ってください」という戦法がどれだけまずいか分からなかったのでしょう。

頭の良い(だろう)人たちが集まっても、自分たちの身を守ることを優先してしまう(ように見られてしまう)のか、会社の風土、経営者の危機管理力の低さなのか、ここまで来ると「何をやっても叩かれてしまう」想定と全く逆の結果になってしまいました。

SNSで様々な声が上がっていることに関しては、伝聞や不確定な情報源を参考に当事者や関係者に無責任な情報を発信することは控えなければいけないのは言うまでもありません。

若干強引かもしれませんが、そんな事態になることまで想定できていたのかどうか、企業の危機管理をどのように仕組みや意識で定着させられるかは大きなテーマです。

社員にとっては辛いことかもしれませんが、再発防止を超えてブランドを再構築する動きを見せていただきたいと願います。